私とLaputa
高校生から大学生の頃、私はヴィジュアル系の音楽をよく聴いていた。 非日常を見せるダークな世界がかっこよくて好きだった。
Laputaを知ったのは、当時ブラウン管テレビで「EVE」のMVを見たとき。 独特な歌声と中性的な美しいビジュアルに、雷に打たれたような衝撃を受けた。
まさに、「忘れない」出来事だった。
Laputaも好きだったが、当時の私は比較的メディアへの露出が多かった別のヴィジュアル系バンドのKを追いかけていて、LaputaをKほど熱心に追いかけることはなかった。私の記憶の中でのLaputaは、「翔~カケラ~裸」あたりで止まっていた。
私はLaputaのライブに一度も行ったことがない。当時はライブの日程を知るための情報源もアナログなものが中心で、ライブの情報を受動的に知ることは難しかった。そもそも学業が忙しく、Laputaのライブに行くという発想にまで至らなかった。
2001年頃、私が通っていた大学のある地方都市の繁華街で、腕に「Last "eve" for you」と書いた少女を見かけた。Laputaファンの間でいう「腕文字」だった。「ああ、今夜はLaputaのライブがこの街であったんだ」そう思ったことを、今でも覚えている。
その後、私は日本の音楽から少しずつ離れ、海外の音楽を聴くようになった。日本の音楽よりも、海外の音楽に目が向いていた時期が長く続いた。
そんな私が2026年、あるヴィジュアル系バンドのメンバーの訃報をきっかけに、同じ時期に活動していたLaputaのことをふと思い出した。「そういえば、若い時に好きだったLaputaのメンバーは今どうしているのだろう」そう思って調べてみたところ、akiさんはすでに亡くなっていることが分かった。
ショックだった。
そして、皮肉にもそれがきっかけでLaputaを聴き直すことになった。
Laputaの音楽を聴き直すと、大人になった私には、若かった当時とはまた違う意味で、楽曲が刺さった。4人が作り上げた音楽そのものに、改めて強く惹かれるようになった。 そうして、Laputaと、その中でも特にakiさんの音楽活動やその周辺の活動について、もっと知りたいと思うようになり調べ始めた。
楽曲自体と当時の資料を調べ始めて、初めて知ったことがたくさんあった。 独自の音楽性や世界観、楽曲の作りの緻密さ、ライブへの情熱についてはもちろんだが、掘り下げていくと自分自身との思いがけないつながりも見つかっていった。
Laputaが初めてライブをした場所が、自分の地元のライブハウスだったこと。
akiさんとTomoiさんがKのローディーをしていたこと。
akiさんが私と同じく車好きだったこと。
さらにakiさんのソロ活動では、aki the BANDのサポートメンバーとして、自分が好きだったKのHさんと一緒に活動していた時期があったこと……。
調べれば調べるほど、自分が昔から好きだった人やもの、自分の生活圏と、Laputaやakiさんが思いがけないところでつながっていることに気づいた。 単なる偶然なんだと思う。でも、そこには言葉では説明しきれない不思議な縁のようなものを感じるようになっていった。
活動について調べているうちに、公式サイトでまだ入手できるakiさんのソロ活動のライブCDが販売されていることがわかった。 注文してみたところ、思いがけずakiさん本人の直筆サインが同封されていて驚いた。もう亡くなっているのに。
公式サイトのスタッフへお礼のメールを送ったところ、akiさんは音楽に真摯に向き合っていたこと、そして今もakiさんの音楽を聴く人がいる限り、その存在は生き続けていくという言葉が返ってきた。
その言葉がとても胸に残った。akiさんは作品の中で、聴く人の中で、生き続けている。
昔好きだったヴィジュアル系バンドの中には、今も現役で活動しているバンドがたくさんあることも知った。
大人になった私は、ライブによく行くようになっていた。
ライブができない。
チケットが取れない。
好きなアーティストやバンドが引退・解散して聴けなくなる。
そんな状況を目の当たりにしてきた私は、「ライブは行ける時に行くもの」だと思うようになっていた。
当時好きだったKのライブにも足を運んでみた。ただ単に昔好きだったから、というだけではない。ただ単に、昔好きだったからというだけではない。 もしakiさんが今も生きていたら。もしLaputaが今も当時と同じようにライブをしていたら。私はどんなふうに、そのステージを見ていただろう。そんな気持ちも、少しあった。
あの日、雷に打たれたように感じたときの記憶は、ずっと忘れずに自分の中で眠っていて、今になって目覚めたのだと思う。
Laputaとakiさんの音楽を聴き、歌詞を読み、雑誌や記事を探し、映像を見て、作品や活動について調べていく。そうして集めたものを整理し、記録していくために始めたのが、Project LPTになった。